今回の記事では、卸売業を展開されている企業の方へ、卸売業の売上計上するタイミングと種類について税理士がやさしく解説していきます。
売上の計上基準とは、「いつ売上を認識するか」の基準です。中小企業であれば複数の基準から自社に合ったものを選択することができます。
今日の新聞に、「新収益認識基準によって卸売業は売上高が減るかも知れない」という記事がありました。これってうちの会社にも何か影響はあるのでしょうか?
新収益認識基準の適用が強制されるのは上場企業や会計士監査を受ける大法人だけですので、貴社には影響ありません。従来どおりの売上計上方法で問題ないですよ。
よかったです。安心しました。ところで、うちの会社は顧客へ商品を出荷するときに売上を計上していますが、別の方法を選定している企業もあるのでしょうか?
はい、法人税法では、「資産の販売は目的物(商品)の引渡しの日の属する事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入する」とだけ規定されています。この「引渡しの日」をどの時点にするかは、複数ある基準から法人が任意で選択することができます。
具体的にどういった基準がありますか?
「商品を出荷した日」を基準とする出荷基準(発送基準)、「商品を顧客に納品した日」を基準とする納品基準(到着基準)、そして「顧客が商品を検収した日」を基準とする検収基準があります。貴社はこのうち出荷基準を採用していることになります。
「このような企業はこの基準を使うべき」というルールはありますか?
ルールはありませんが、出荷、納品、検収のうち、企業側が最も把握しやすい時点の基準を使うことがベターです。商品の出荷を宅配業者に委託している企業は出荷基準、自社で顧客まで納品する企業は納品基準もしくは検収基準を採用するとよいでしょう。
年によって基準を変えることはできますか?
一度決めた基準は継続的に使うことが必要なので、年によって基準をころころ変えることはできません。
わかりました。ありがとうございます。
一度選んだ売上計上基準は継続適用が必要なので、顧問税理士の意見などを踏まえて慎重に選定しましょう。