
今回の記事では、養老保険にかかる保険料の一部を損金算入するために必要な福利厚生規程について、税理士がやさしく解説していきます。
法人が契約者で、死亡保険金の受取人が役員または従業員の遺族である養老保険については、その保険料の半分を期間の経過に応じて損金算入できますが、役員または従業員への給与として扱われないためにも福利厚生規程の準備が必要です。
先日、生命保険会社の営業担当者から、「養老保険に加入すれば充実した福利厚生を社内外にアピールできる上、保険料の一部は損金になりますよ」というセールスを受けました。加入を前向きに考えているのですが、何か注意したほうが良い点があれば教えてください。
御社が注意しておくべき点は、福利厚生規程を準備する必要がある点と、損金算入には要件がある点です。
保険加入と福利厚生規程に何か関係があるのですか?
順を追って説明します。まず、法人が契約者で役員または使用人を被保険者とする養老保険の保険料については、死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で生存保険金の受取人が法人の場合、その2分の1に相当する金額を法人の損金の額に算入することができます。
死亡保険金の受取人が役員・従業員の遺族ということは、その保険料は役員・従業員への給与として扱われますか?
役員、部課長、その他特定の者のみを被保険者とする場合は給与課税されますが、従業員全員が対象であれば給与課税はされません。税務調査の場で従業員全員が被保険者であることを示すためにも、福利厚生規程の準備が必要なのです。
以前同業他社の経営者と話をしたとき、明文の福利厚生規程を作っていなかったことが原因で従業員とトラブルになったと聞きました。そういったトラブルを防ぐという意味でも、きちんと福利厚生規程を準備する必要がありますね。損金算入の要件で気をつけるべき点についても教えてください。
死亡保険金と生存保険金の受取人が共に法人の場合、その保険料を期間の経過に応じて損金算入できない点に注意が必要です。保険料の2分の1を損金算入できるのは死亡保険金の受取人が従業員・役員の遺族である場合です。
以前同業他社の経営者と話をしたとき、明文の福利厚生規程を作っていなかったことが原因で従業員とトラブルになったと聞きました。
そういったトラブルを防ぐという意味でも、きちんと福利厚生規程を準備する必要がありますね。損金算入の要件で気をつけるべき点についても教えてください。
役員、部課長、その他特定の者のみを被保険者とする場合は給与課税されますが、従業員全員が対象であれば給与課税はされません。税務調査の場で従業員全員が被保険者であることを示すためにも、福利厚生規程の準備が必要なのです。
どういった保険に加入しているかも福利厚生規程に明記しておいたほうがよさそうですね。
はい、トラブルを防ぐ意味でもそのほうがよいと考えます。
明文の福利厚生規程を作成しておかないと、法人と役員・従業員との間でトラブルが生じたり、税務調査で指摘を受けたりする可能性があります。無用なトラブルを防ぐためにも、福利厚生規程を作成することをおすすめします。