今回の記事では、法人および個人事業主が減価償却資産を購入した場合の「少額減価償却資産の特例」が適用される基準と注意点について、税理士がやさしく解説していきます。
「少額減価償却資産」とは、中小企業者であれば取得時に一括損金算入ができる取得価額30万円未満の減価償却資産です。
先生、ちょっと教えてほしいことがあるんだけど、いいかな?
はい、もちろんです。どういったことでしょう?
今度会社でテレワーク用にノートパソコンを5台買おうと思っているんだけど、この費用って今年度の経費で落ちるんだっけ?
買おうとされているパソコンは1台いくらですか?
2種類買おうと思っていて、1台10万円弱のやつが2台と、1台25万円くらいのが3台かな。確か、10万円までは全額経費に落ちるんだよね?
はい、取得価額が10万円未満の少額の減価償却資産は事業に使った事業年度に取得価額の全額を経費として経理すれば、全額がその事業年度の損金の額に算入されます。また、貴社の場合は「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の適用を受けられるため、1台25万円のパソコンについても全額損金算入することが可能です。
そうなの?今年度、新しく社用車を200万円くらいで買おうと思っているんだけど、それもその特例を使えば全額損金に入ったりするの?
いえ、残念ながらこの特例は取得価額30万円未満の減価償却資産に限定されるため、200万円の社用車は適用対象外です。
そりゃそうだよね。ところで、うちの会社がその特例を受ける場合の注意点があったら教えてもらえるかな?
注意点は3点あります。1点目は合計額に制限があることです。具体的には、1年あたり300万円が限度となります。2点目は事業に使い始めた事業年度において取得価額の全額を損金経理することです。
2点目は取得価額が10万円未満の資産についても同じだよね?
そのとおりです。そして3点目は確定申告書に明細表の添付が必要だという点です。
それは先生に任せているからよろしく頼むよ。
もちろんです。
今日はありがとう。知り合いの社長にも特例のことを教えてあげることにするよ。
この特例は資本金の額が1億円以下の青色申告法人の大部分は適用対象となりますが、適用除外となるケースもあるので、その社長さんにお伝えするときはご留意ください。
わかった。ありがとう。
少額減価償却資産の特例の適用を受けることができれば、取得価額30万円未満の減価償却資産を一括損金算入できるため節税につながります。資本金の額が1億円以下の青色申告法人であっても適用除外となるケースもあるので、適用を受けようとする際は必ず適用要件をご確認ください。